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ヘルシンキの問題を抱える家族を支援する家族ネウボラ

 最終更新日  

家族ネウボラにある参考図書

☆支援が必要とされる人へのサービス提供

ヘルシンキの家族ネウボラPerheneuvola pohjoinen(ファミリー・カウンセリング)の事務所を訪問した。家族対応責任者Perheiden erityispalveluiden  päällikköのハンネ・カルマリ女史Ms Hanne  Kalmariがヘルシンキ市の児童福祉政策、児童虐待の発見、対応、家族支援などについて説明してくれた。

ヘルシンキ市の人口は約60万で、3地区に分けて保健・福祉サービスを提供している。各地区に2か所の家族ネウボラ事務所を設置し、0-17歳の子供10万人がいる家族のための子供の成長、教育に関する悩みや子供や家族に起こっている危機や問題をカウンセリングしている。

フィンランドの福祉サービスは、将来的には以下の3つのセンターにまとめることになっている。①大人対象の健康センター、②子どものいる家庭をケアするファミリーセンター、③高齢者対象センター。

子どものいる家庭のケアは、基本にすべての人への基礎サービスがあり、ネウボラや学校での保健サービス、歯科、保育、教育、児童公園などが含まれる。基礎サービスを提供する中で特別支援が必要な人を見つけ、さらに早期支援が必要な人たちの中で、緊急支援が必要な人を見つける。

早期と緊急の境目あたりの人へのサービスが家族ネウボラの業務になる。

早期支援が必要な人たちへのサービスの一つにヘルパー派遣がある。家事や育児ができない家庭へ出張し、代役を果たす。たとえば3つ子のいる家庭、病気の母の家庭、家庭の維持ができない父母の指導。

市内には約40名のソーシャルワーカー的存在のカウンセラーがおり、すべての学校をカバーしている。児童の検査をし、保護の必要性を判断し、生徒と家族を包括的に支援する。約40名の学校心理士は学習障害児、多動児などの学習面などの支援を行う。

その上に特別な支援が必要な人たちへのサービスがある。子と交流できない母や父、子どもと家庭、両親への支援などのサービスを提供する。

それ以上のサービスが必要な人たちへの部門としては児童福祉部門、特殊な治療、児童精神科、リハビリなどが含まれる。

家族ネウボラの相談室

☆家族ネウボラ

家族ネウボラの役割は二つあり、一つは家庭育児相談、一つはカップル・家族セラピーである。

家庭育児相談では基本的な質問に加えて、専門のメソッドを使って子どもの性格をアセスメントする。家族にも専門のメソッドを使い、問題解決能力、コミュニケーション能力、感情表現などを調査する。これの利用は年間2万件前後で、子どもの問題行動が半数、親子関係が25%、家庭崩壊や家庭内暴力が20%になる。

カップル・家族セラピーは子どもがいる家族の離婚問題、離婚後の問題、再婚家族の結婚に関する問題などの解決、支援を行う。13人の心理士が年間7000件を担当する。このサービスはフィンランドではヘルシンキだけが実施してきたが、今後は他自治体にも広がるだろう。

フィンランドでは法律で、子どもたちを正常に育成するように両親を支援しなければならないと定められている。問題を感じる18歳未満の子どもたちはここにくる。紹介は不要だが、保育園、学校、ネウボラからの紹介が多い。自治体からの支援は無料で受けられるが、その前にここでカウンセリングを受けることが条件になる例が多い。現在2500家族、4000人の親子がサービスを受けている。

ヘルシンキの家族ネウボラのスタッフは75人で、半分はSW、半分は心理士、加えて医師からの支援も受けられる。SWの役割は、失業中の親たちの状況を把握する。心理士は子の成長、反応、コミュニケーションする力などを観察する。4人の児童精神科医師は専門医への紹介状を書くなどの医療的な判断をする。離婚や病気、死などの家庭内での変化を捉えること、育児観が間違っていて親としての正常な役割を果たせない親、通常でない反応をする子どもたちが多い。

相談は初期は1~3回きてもらって状況を把握する。子どもへの虐待の可能性を探る。フィンランドではいまは体罰は禁止だが、移民や外国人は体罰をする。夫婦間の暴力は子への虐待につながるリスクが高い。手に負えない子は、親に暴力を呼ぶ。シングルマザーが虐待する可能性が高い。

きちんと整理された所長室

ここでは、なんでもオープンに話せる状態をつくる。ほかにも、同じ状況の家族がいることを教える。すぐに怒るのは暴力につながりやすい。危険な状態を見つける。親はSW、子は心理士と別々に会う。子は親に言えないことを心理士に言える。家族以外の人には子は話せる。大人が大人でいさせることが大切。子と親が楽しい時間をもつことを支援する。夫婦の間の暴力をなくさせる。

小さい子に対してはつい手を出し易い。ここには3歳、4歳の子が相談に来る。小学生くらいの子への虐待はネグレクトが多い。兄弟の間での親の依怙贔屓で、離婚後の再家族でよくみられる。子の飲酒、喫煙を親が無視することも虐待の一つ。家庭の中で、親が正常な反応を示せないことが虐待になる。

緊急の場合は、児童保護部門が保護し、オウルンキュラにある緊急保護施設へ連れていく。母子で住める首都圏シェルターもある。子が親の暴力を他人に話したら、自宅へは帰さずに保護する。ここに相談にこない引きこもり家族は、ここに情報が入れば児童保護担当部門へ伝え、何等かの措置が取られる。ここにきている人たちの30%はそうした通報でくる。ここでは家族をうまく運営させるための提案をしている。両親の過去を引出し、体罰はいまでは犯罪であることを教える。暴力の代わりに話すことを教え、討論して親を指導することもここの目的の一つである。親から暴力を受けた親を治療することも必要。フィンランドでは暴力の連鎖は大きな問題になっている。

家庭内暴力被害者のシェルター

初期相談のあとは2週間に1から2回、SWと心理士が5から10回面接する。さらに親族や担任教員なども面接に参加してもらい、家族史なども聞く。親子のコミュニケーション能力を評価し、心理士が心理判定する。全体の25%は精神科医が加わり、治療が必要か判定する。

治療に入る場合は、家族とともに具体的は内容や期限目標を定める。多くの家庭で親子のコミュニケーション能力の改善が必要で、支援が必要。子どもには集中的に短期的な治療を実施する。治療が1年を超える場合は、病院などに担当を移して、特別な保健・社会サービスを受ける。

期限終了前に目標の達成度を査定し、必要であればさらに新しい目標を作る。目標が達成されていれば終了になる。その後、4から6カ月後に再度、面接、家族訪問などを行う。

フィンランドでは、子どもへの虐待は子どもだけの問題ではなく、家族が生み出すことをはっきりと認識していて、離婚の予防や再家族の問題予防など、予防に力を入れているのが感じられた。日本の場合は、多くの問題が対処療法であり、その場で解決できればそれで責任が回避されるという保身主義的な方法が主流のようで、問題の予防や発生を防ぐことは無視しているように感じられる。厚生労働省は、妊娠から7歳までのネウボラの導入を自治体に働きかけているが、家族ネウボラの導入も早く進めてほしい。毎週1回は児童虐待から自殺や殺人のニュースを目にする我が国の現状から、早く脱却したいものだ。

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