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ヘルシンキ小児病院のソーシャルワーカーの仕事

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ヘルシンキ小児病院の正面。このデザインから「虹の病院」と呼ぶ人もいる

フィンランドの首都ヘルシンキにある小児病院「子どもの城」を訪問し、ソーシャルワーカーがどのような仕事をしているか、教えてもらいました。話して下さったのは、主任ソーシャルワーカーのミンナ・ティカンオヤ女史、家族サービス刷新研究グループのレーナ・マンニスト女史、小児精神科所属ソーシャルワーカーのマルヨ・ライナ女史、ソーシャルワーカーのエリサ・ヴァルカマ女史、ヘリ・ルサマ女史、エリナ・コイヴマキ女史です。

この病院は1917年に設立されました。1917年はフィンランドという国がソヴィエト連邦(旧ロシア)から独立した年でもあります。2018年8月まで使用されてきた建物は1948年の建造で、ナチス・ドイツに引きずられてソヴィエトと戦って負けた直後の暗い時代に、子どもたちの心を明るくしたいという願いを込めて建てられた建築です。内部の階段の壁には、ムーミンの産みの親であるトーベ・ヤンソン女史が、自ら描いたムーミンの世界が残っています。今後はどう使われるか未定と聞いていますが、残してほしい建物です。

子どもの城病院

 

まずティカンオヤ女史から病院の説明をうかがいました。小児病院HUSは、フィンランド最南端地方を占める旧ウーシマ県、2010年に県が廃止されたあとは地域行政機関AVIとなった地域の自治体24が共同で運営しているものです。その中には国立のヘルシンキ大学病院HUHも含まれ、小児病院は大学病院の一部でもあります。

小児病院は2018年9月からメイラハッティ・キャンパスの新しい建物に移転しました。新小児病院は、小児がんなどの子どもの難病、特に心臓手術や臓器移植の治療に力を入れています。140ベッドに拡大し、1階のロビーから上の階の廊下や病室までムーミンの世界がホスピタル・アートとして採用されています。ホスピタル・アートは入院や通院の患者さんの心を和らげるための芸術で、特に小児病院には重要です。家族中心の患者治療を基本として、家族で宿泊できる設備があり、入院期間もできるだけ短くするように計画されています。

新小児病院のロビー。SWとムーミンの世界

新小児病院のロビー。SWのライナ女史とムーミンの世界

 

この病院が対象としている年齢は0歳児から16歳未満児です。必要であれば、16歳になっても治療をうけることができます。ソーシャルワーカーは主に小児精神科に所属しています。この科では12歳までが対象で、13歳から精神病は大人の病院が担当します。全体で50人のソーシャルワーカーが働らき、責任者、身体の病気担当、精神病担当、他地域病院からの患者担当などに分かれています。被虐待児には7人が関わり、警察からの依頼にも対応しています。新病院は2倍以上の規模になったので、職員も増えていきます。

もっとも重要は仕事は、病気の子どもの家庭の評価。そして、病気で亡くなった子どもの家族を支え、心のリハビリに寄り添っていくこと。リハビリに役立つネットワーク作りも重要です。

もう一つの重要な仕事の例では、小児精神科の患者の治療です。事例の数が年々増えています。保育士から、少し変わっているから見てほしいという紹介もあります。ここにくる子には、まずソーシャルワーカーが会って、チェックします。問題行動を起こす子を発見して、どう指導していくか検討します。研究調査の裏付けがある方法を採用していきます。親子の愛着関係をどう築いていくか。そのためのセッションを設けます。親のグループ、子のグループをつくり、1日2.5時間、週に1回、18週間続けます。軽食を提供し、兄弟がくればその世話もします。6人の子に対して2人の指導員と心理士がつき、親にはソーシャルワーカーがつきます。行動に問題がある子は、ADHDや自閉的な傾向があります。親には、子を肯定し、できることを見つけて、励ますように指導します。子には、感情をコントロールする方法、やってはいけないことを教えます。違う家族と一緒にロールプレイもやります。ここで学んだことを、自宅での日常生活の中に持ち込んでもらえるようなセッションにしていきます。

旧小児病院の階段にはヤンソン女史自筆の絵が残る

旧小児病院の階段にはヤンソン女史自筆の壁画が残る

 

時間に限りがあったので、病院のソーシャルワーカーの実務のすべてを聞いたわけではありません。たぶん重要な部分と思われるところを話してくれたのでしょう。虐待防止と修正、家族再生を重要な任務としているようです。ヘルシンキには、虐待家族や子育てできない家族の訓練を行う施設もあります。小児病院でも虐待発見から修正を使命とし、多くのソーシャルワーカーが関与していることを知り、驚きました。

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