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ヘルシンキの新しい家族センター

 最終更新日  

新しい家族サービスセンター

ヘルシンキ市が2017年に新しい家族サービスセンターを開設したと聞き、お話しをうかがってきました。ヘルシンキ市の北東部にある住宅地の地下鉄駅と、パスターミナルの前、交通の立地はベストです。1階の外壁に大きく家族センターの文字、間違いようがありません。ポソワナ女史をはじめ3人のソーシャルワーカー、心理士が説明してくれました。ここは2017年6月に事業を開始した福祉・医療機関です。この地域の0-17歳の子供がいる家族を支援してきた組織だった家族ネウヴォラ(相談所)4か所を一つにまとめ、幼児・児童とその家族だけでなく、問題がある大人がいる家族も支援することになりました。妊娠から出産までの母子医療、妊娠時から育児時期にかかわる精神保健、幼児から青年の口腔予防ケア、児童の言語療法、理学療法と作業療法、家族支援、児童福祉、障害者支援などを担当しています。家族センターは月曜〜金曜の8時〜20時に営業、母子保健クリニックは月曜〜金曜の7時30分〜19時に営業、金曜は7時30分〜16時、産科小児科診療所は月曜〜金曜の8時30分〜15時に営業となっています。

ヘルシンキ市は数年前から、市民への医療、福祉サービスを改良しようとプランニングしてきました。その新しい制度が、次の3つです。

1.高齢者サービスセンタ

2.成人(サービス)センター

3.家族(サービス)センター

このうち1の高齢者センターについては、説明はうけませんでした。

2.の成人(サービス)センターは、成人の健康管理、困窮や求職などの社会サービス、成人の口腔ケア、精神保健、薬物依存、アルコール依存、理学療法、作業療法、障害者支援、移民支援、避妊相談、禁煙治療、医療検査などを担当します。

そして3.の家族センターについて。2018年にはまだ2か所ですが、将来は6-7か所設置する予定です。

ここにはソーシャルワーク系と、医療系(含むカウンセラー)の職員が200人います。さまざまな専門家を一つの組織に含めて、トータルで家族を守っていこうとしています。目的は健全な子どもを育てることであり、子どもの健康と福祉を健全にするには、家族の健康と福祉を健全にする必要があるという視点です。そして、これだけの専門家がいれば支援しやすくなります。妊婦は、病院まで行かずに、ここで予約すれぱサービスが受けられるようになったので、診療待ちの時間がなくなり、楽になりました。妊婦の利用は毎月増えているし、支援が必要な家族も増えています。

もうひとつの利点は、これだけの広い範囲を受け持つと、他人から何の問題でここにくるのか、特定されにくくなりました。

KELAから無料で支給される出産必需品パック

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これまでのシステムでは、妊娠前から出産、就学までの子どもがいる家族は幼児家族のネウヴォラが対応してきました。幼児家族のネウヴォラには、助産師、看護師、保健師、ソーシャルワーカーがいて、全員を対象としてサービスしています。就学後は学校の教員、看護師、ソーシャルワーカーが対応します。これらのどこかで、子どもや家族に障害や虐待、病気、社会的問題が見つかると、18歳までの子どもがいる問題がある家族を支援する家族ネウヴォラに引き継がれてます。さらに問題がある家族は児童相談所も支援に加わります。これらの機能を一つにまとめたのが、この新しい家族(サービス)センターです。幼児ネウヴォラと家族ネウヴォラが同居しているので、ネウヴォラ同士の連絡が簡単になりました。また保育士や看護師が問題を見つけた時の連絡も楽になりました。

子どもに問題がある家族の場合、あるいは家族に問題がある場合は、家族ネウヴォラが対応します。専門の違うソーシャルワーカーがグループになって一つの家族を評価します。違う教育を受けたソーシャルワーク関係者が一緒に考えることに価値があると考えています。

さらに問題が重い家族は、修士課程を卒業したソーシャルワーカーが担当し、訪問相談などを通じて、問題を修復しようとします。児童相談所、言語療法、病院なども関与してきます。これらは本人の任意ではなく、強制的に相談・治療を受けねばならないものです。

児童相談所は取り扱う子どもにひとりずつプランを作って支援していきます。子どもの立場に立ち、どうすれば安全に育っていくか考えながらプランを作り、支援サービスを提供しています。相談員は、親の代わりに子どもを健全に育てる責任を持ちます。危険と判断すると、子どもを親から取り上げます。親に任せる場合は、相談員が常に監視を続けていきます。一人の子どもに一人のソーシャルワーカーが付き、その家族支援を担当するソーシャルワーカーも付きます。ほかに保育所や学校、医療機関も関わります。

警官、保育士、教員、福祉医療関係者は、虐待を知ったら、見たら、聞いたら、児童相談所に通報する義務があります。通報を受けたら児童相談所は調査し、該当する問題か評価します。保育園や学校に遅れる、無断で休むなどの虐待の兆候、身体の状態などを調べます。児童相談所の仕事に該当すると判断すれば、すぐに保護を開始します。両親に育てる能力がない、家庭内暴力や薬物使用が止められないなどで、親から引き離す場合は、法律に従って実施します。児童相談所は21歳まで支援します。

最近は外見ではわからないアスペルガー症候群、ADHDなどのボーダーライン的な子どもたちが増えていて、親はどう育てていいかわからず、悩みは深くなっています。そんな家族にも対応できるように今回新しいシステムを作りましたが、今後もさらに改革が必要かもしれません。、

家族サービスセンターのロビー

家族サービスセンターのロビー

 

日本では2015年あたりから日本版ネウボラの導入が始まっています。ネウボラの本家のフィンランドでは、さらに改良した包括的な家族支援システムを作って、子どもの虐待予防、家庭内暴力の根絶、障害児の保護育成などに取り組んでいると知りました。今後どのように評価されるのか、見守っていきたいと思います。

 

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