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ストックホルム郊外の特別就学前学校

 最終更新日  

ストックホルム郊外にある特別就学前学校を視察しました。ここは7歳までの自閉症、知的障害児、機能障害児、言語障害、てんかんなどの幼児の教育保育をしています。11人の枠がありますが、現在は5人の心身障害児が教育訓練を受けています。トービィ自治体だけでなく、周辺の自治体からも受け入れているので、これまでに最大で9人が在籍していました。

みんなが揃ったらはじめます

9時45分に訪問すると、ちょうど朝の会がもたれていました。施設長のレーナ・ヨハンソン女史が説明してくれます。毎朝15分ほどの例会で、歌から始まります。「アナーちゃん、ようこそ」と順番に歌っていきます。子どもたちの障害は重く、立位保持具に支えられて立つ子が2人、車椅子の子が2人いました。子どもたちは、歌いながら挨拶するように、お互いの体に触れていきます。触れ合いを大切にしているようです。

そばの床で男の子が一人、保母さんに抱かれていました。30分ほど前にてんかんの発作を起こしたので、いまは休んでいるそうです。人が歩くと、床が軽く振動して、男の子が感じられるようにしている。いつもは元気だけど、週に何度も発作を起こす。でも軽いのでここでケアしている。重いてんかんの子の場合は入院になる。

保育園の開園は7時30分。一人ずつゆっくりと集まってきます。早く来た子には朝食が出ます。ここにはプロのコックがいて、朝食、10時のおやつ、12時に昼食、食後の1時間のお昼寝のあと15時のおやつまで、みな手作りする。おやつの時クッキーを焼く香りが漂う。昼食の前にはソースを煮る香り、午後のおやつでは焼きリンゴの香り。部屋から部屋へと香りが漂う。それでみな、次にやることがわかる。子どもたちのほとんどは胃瘻手術を受けている。だから香りで、口から食べたいと誘い、食べる訓練に力を入れ、いつか胃瘻を外したい。

送迎の交通機関は、自治体がタクシーを用意しています。親とは家の玄関で別れ、運転手がここまで連れてきてくれます。原則として、毎日同じ運転手が担当し、特別に介護の資格はもっていません。てんかんのある子が乗るときには、発作の薬をタクシーの中に常備してあります。重い発作を起こす子には、アシスタントが同行します。運転手は家族とうまく交流できる人柄ももとめられる。

触ると音が出る、しゃべる、何かが飛び出す、ドミノ崩し、さまざまな刺激

保育を見学させてもらいました。立位保持具に乗って立ち、テーブルに置いた5つのボタンを叩く女の子。ボタンは声を出したり、音楽をながしたり、なんらかの反応をしてくれる。彼女は視覚障害もある。ボタンを押すと反応があることを学ぶ。小さい時からずっと叩いているそう。だから、頭に入っている、身体が覚えている、ボタンを叩いてきた。交代して、ほかの子たちも叩いていく。

ロボットのように動くぬいぐるみ

ここだけでなく、いろいろなところにボタンやスイッチが置かれている。叩くと隣の犬の人形が吠えたり、顔を上げたり、何か反応する。反応しなくなったら、子どもは叩かなくなる。立位保持機は、スウェーデンの企業が開発したもので、支えながらジャンプや回転ができる優れものとのこと。補助器具も上手に使っています。
1日の中で、朝の会は鈴の音が合図、食事はスプーンをぶつける音。そして予定を示す絵文字群。視覚、嗅覚、聴覚、味覚、そして朝から帰るまで、みんなが互いに触れ合っている。まさに五感を使った保育、教育、訓練です。

いまは立位より、話す訓練が最優先

スウェーデンでは曜日の色が決まっています。玄関には曜日を示す瓶、月曜は緑、火曜は青、水曜は白という具合に置かれています。さらに曜日の香りも決まっていて、瓶の中にラベンダーなどの香料が入っています。そして、ここの朝の会で歌う歌も、曜日で決まっています。さらに木曜には豆のスープを食べます。昔は水曜には魚を食べていたそうでここで使っている補助器具、感覚を刺激する器具、おもちゃ、ボタンやスイッチ、絵文字、教材などは、県のハビリテーションセンターから借りています。障害がある子の家庭も、希望すれば貸してもらえます。ずっと使っても構わない。

ハビリテーションセンターは補助器具、おもちゃだけでなく、OT、PTも貸してくれる

これだけ重い障害児であっても、多くの親は特別保育園に預けるには決断が必要。普通の保育園で過ごさせてやりたいと思う人が多いので、ここは利用者が少ない。でも、このように手厚い保育ができるのは特別保育園だけ。7歳になって特別学校に入るとそれがわかる。
親との連絡は、ボイスボタンに録音し、子どもに持ち帰ってもらう。親が録音を聞き、家での様子や今朝の体調、親の考えを録音してくれる。こうして情報交換する。
私たちがふれたのは、ほんの一部で、このほかにも乗馬や水泳など、さまざまな刺激や運動を取り入れていると聞いた。もっと色々学ひたかったが、忙しいスタッフに申し訳ないので、失礼しました。五感を存分に使った保育に初めて触れることができ、目からうろこでした。

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