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スウェーデン、マルメの新しいシンボル「ターニング・トルソ」

 最終更新日  

       海岸に建つ高齢者住宅ネプチューンとともに未来的な世界をつくる
スウェーデンの南西端にある第3の都会マルメの港には、2002年までコッカム造船所の高さ140mのクレーンがそびえていました。かつてのスウェーデンは造船業が盛んで、自国で生産できた鉄を利用して、大型の客船や輸送船を数多く造っていました。コッカム造船所のクレーンは、工業国スウェーデンのシンボルであり、工業都市マルメのシンボルでもありました。

悪天候の日の上部は靄の中


しかし、1970年代からスウェーデンの造船業は、社会保障費負担や人件費が安い日本や韓国や中国の造船会社に価格で負けるようになりました。コッカム造船所はスウェーデン海軍の潜水艦を造る以外に仕事がなくなり、クレーンは韓国の造船所に売られました。オアスン海峡を挟んで、遠く隣国デンマークの首都コペンハーゲンからも眺めることができたマルメのシンボルは、消えてしまいました。

カラトラヴァ設計のリスボンのオリエント駅


20世紀末にデンマークとスウェーデンの景気浮揚策の一つとして、オアスン海峡のコペンハーゲンとマルメの間に橋をかけることが決まり、設計のコンペを実施した。参加者の一人だったスペインの建築家・彫刻家サンチャゴ・カラトラヴァSantiago Calatravaは、自分の過去の実績の一つとしてひねった彫刻の写真を添付しておきました。彼の橋の設計は不採用でしたが、新しいシンボルを求めていたマルメ市は、彼に彫刻作品のようなひねった建物を設計してほしいと依頼しました。カラトラヴァは1951年生まれのスペイン人。TGVのリヨン駅、バルセローナのアラメダ橋、1998年完成のリスボンのオリエント駅、2004年のアテネ・オリンピックのメイン会場などを設計しています。構造設計の知識を駆使した、機能的で美しい建築のプロフェッショナルで、駅や橋を好んで作っています。マルメ市は、造船所の跡地を、IT時代にふさわしい新しい大学とIT産業のオフィス街に再開発しました。加えて、環境保全と無駄を排除する新しい暮らしができるエコ住宅を建てて、職住接近の地として位置づけました。そのシンボルを何にするか、ずっと考えていたのでしょう。その結果、この奇抜で人の目を引き、最新のエコ技術がぎっしり詰まった、それでいて知的で美しい高層建築ターニング・トルソTurning Torsoが誕生しました。2005年8月のことです。

こんなにねじれた建物は他に類を見ない


中央駅西の再開発地区ヴェストラ・ハムネンの一郭にそびえるこの建築は、はじめて見る人には驚きの建築でしょう。北欧最高の193mの高層ビルが、地上から最上階まで90度の角度でひねってあります。54階建てで、1階から10階までは賃貸オフィス、それより上階は45-190㎡の147世帯分の賃貸住宅、53階と54階が会議室になっています。5階建てのブロックが9層積み上げられた外装で、何度か見ていると「美しい」と思えるようになってきました。現代建築最高の美の作り手による建物は、スウェーデン人のセンスの高さをも表現しています。

ターニング・トルソの1階入口


 個人の住宅なので、内部は非公開です。室内に入ることができなかったので実際はわかりませんが、家具の置き場などがぴったりしない部分がでてくるのではないかと思えてなりません。あるいは、ねじれているのは外側だけで、内側の5階建てのブロックはそれぞれまっすぐなのかもしれません。海岸のすぐ近くに建つので、上の階からの眺めはすごいはず (ホームページHSB Turning Torsoで展望や設計がわかる)。その反面、風が強いので、壁面や窓部分のいたみははげしいようにも思える。たぶん多少のマイナス面はあるでしょうが、マルメのシンボルとしては余りあるはず。コッカム造船所のクレーンがシンボルだった時代は約50年でした。時代が移れば、ターニング・トルソとは別のシンボルが必要になるかもしれません。スウェーデン人はシンボルの作り方が上手なので、テーマのある町づくりと連携させて、また新しい何かを作ってくれることでしょう。

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